大飯原発差止判決

大飯原発の運転を差し止めた一昨日の福井地裁判決は画期的なものだ。米国の最高裁判所は、議会で成立する『多数の正義』をしばしば憲法上の判断で簡単に覆すことで知られるが、日本の裁判所は「そこは政治で決めてください」と安易に『統治行為論』で逃げて…

加藤コミッショナーの心

プロ野球の統一球を今季から飛びやすい仕様に変更しながら公表してこなかった問題で加藤コミッショナーのリーダーとしての資質が問われている。この問題は色々な角度から見ることができるが、ここでは加藤コミッショナーの心のありようについて考えてみたい…

中国における反日デモ

ご無沙汰していて、申し訳ない。ここしばらく色々と失望することが多く、すっかり書く気を失っていたが、いつまで経っても訪れてくれる読者がいるようなので、気を取り直して、徒然なるままに思うことを書いていきたい。中国で反日デモが高まっている。報道…

コメの先物取引再開

米国債の格下げで世界的な株安の連鎖に歯止めがかからない。ドルとユーロから逃避したマネーは円とスイスフランに向かっており、円とスイスフランがじりじりと上がっている。折しも、昨日、コメの先物取引が72年ぶりに再開された。そもそも、先物取引は江戸…

格差経済

昨夜、発表された米雇用統計は市場予想を上回ったものの、外国為替市場の反応は冷淡だった。それどころか、米国経済の二番底突入を懸念して、世界同時株安の様相を呈してきている。アップルやフェイスブックが躍進している一方で、米国経済の本格的な回復の…

日立と三菱重工の経営統合

日立製作所と三菱重工業が経営統合に向けて動き出すことになった。両社の主力である社会インフラ事業を統合することにより、新興国のインフラ市場への競争力を高めるのが狙いだ。両社が統合を決意したのは福島第一原発事故をきっかけとする内外の経営環境の…

民主主義というOS

8月5日付のロンドン・エコノミスト誌のタイトルは、「Turning Japanese」、いわば、「日本化の危機」。債務上限の引き上げをめぐる米国の政争や欧州におけるユーロ危機を評して、米国も欧州も国債の債務不履行リスクを抱えながら、債務削減できない政治的麻…

電力ロビー

昨日、突然、共同通信の記者から、「2003年福井県知事選挙の際の話を聞きたい」と取材を受けた。『脱原発』を掲げて知事選を戦った僕の陣営に対して、関西電力からどのような圧力を受けたか知りたいとのことだった。「高木を応援するなら、今後、仕事を出さ…

「脱原発」か「原発維持」かという神学論争

管首相がついに「脱原発」を打ち出した。もっと議論を尽くすべきだと新聞などで批判されているが、「脱原発」か「原発維持」かという論争は、いわば、どの神に仕えるかという神学論争なので、ボトムアップ式の議論にはなじまない。どちらの神にするかは、最…

苦力国家

円がほとんどの通貨に対して円高となっている。放射能汚染に電力​不足と良い材料が一つもない円がなぜ、買われるのか。欧州はギリ​シアに始まる財政不安、米国は先週の雇用統計発表で明らかになっ​た景気回復の脆弱さと、欧米に比べれば、まだ、日本がましと…

「脱原発」をめぐる対立軸

管首相の苦し紛れの延命策と言われながらも、原発の再稼働をめ​ぐるストレステストの導入で、「脱原発」 vs.「原発維持」という対立軸ができつつある。再稼働をめぐり、あえて海江田経産相と対立してみせたことで、敵は産官複合体の中にある「原子力ムラ」で…

サマータイム

昨日、3時半頃、クライエント企業を訪れるために、品川駅を降りたら、いきなり若い女性に居酒屋に勧誘された。「サマータイム狙いですか」と聞いたら、「そうです」とのこと。サマータイムで退社した社員と間違われたようだ。浜岡原発の停止と7月1日から始ま…

謹賀新年

明けましておめでとうございます。大晦日から3日まで鯖江の実家でのんびりしていた。といっても、3日は、11月に報恩講回りが出来なかったので、遅ればせながら、檀家の皆さんのところに報恩講回りをしてきた。報恩講とは、浄土真宗の大事な行事で親鸞聖人の…

日米関係について

ご無沙汰していて申し訳ない。 普天間基地移設の問題やオバマ米大統領の訪日などで、日米関係について色々と議論が喧しくなっているので、日米関係についての考え方を整理しておきたい。 まず、鳩山政権の「対等な日米関係」という目標だが、「対等な日米関…

鳩山内閣の発足

鳩山内閣が発足した。顔ぶれなどについては、マスコミで色々報道されているので、あえて書かない。おやっ、と気がついたことを書いておこう。 まず、最初の閣議で「政・官の在り方」について申し合わせがなされたということである。「脱官僚政治」が鳩山内閣…

民主党の圧勝

衆院選で民主党が圧勝した。理由については、報道メディアで色々報じられている通り、「とにかく、一度、政権を変えてみよう」という民意の表れであろう。自民党と民主党の政策を詳細に比較した結果とは思われない。村上春樹が『IQ84』で表現した「自分には…

「市民の常識」について

前回のブログで「市民の常識」と書いたことについて、思いがけず、色々なコメントが寄せられたので、僕の考えをもう少し詳しく書いておこう。 まず、ある特定のモデルに代表される「市民」なるものが存在しないことはその通りである。 おそらく、Cさんであ…

新しい「この国のかたち」(3)

ブログの更新を待っていてくれた人がいるようでとても嬉しい。今日も続きを書こう。今日は、グリーンディール政策について考えてみよう。グリーンディールというのは、オバマ大統領が打ち出している自然エネルギーを核とした新しい環境ビジネスの立ち上げ構…

新しい「この国のかたち」(2)

続きである。今日は、まず、都市と地方の格差について書いてみよう。これは、この10年間、僕が政治活動で取り組んできたテーマである。東京にお金を稼げる人が集まって、そこで稼いだお金を地方にばら撒くというこれまでの「この国のかたち」を何とか、変え…

新しい「この国のかたち」

長い間、ご無沙汰していて申し訳ない。仕事が忙しかったせいもあるが、日本の政治というか、日本社会全般に失望していて、正直言って、あまり書く気になれなかった。この間、色々なことがあった。あり過ぎて、どう整理したらいいか分からないというのが、大…

米大統領選挙が意味するもの

予想通り、民主党のオバマ氏が大差で当選した。いろいろな意味で意義深いが、他のメディアで書かれていないと思われることで、僕なりに感じたことをいくつか書いておきたい。 まず、基本的に、今回のオバマ氏の勝利は、アメリカの政治の周期的な動きに沿った…

麻生総理の所信表明演説

麻生総理の所信表明演説を読んだ。仕事中に聞いている暇はないので、夕刊に掲載されている演説の全文を読んだのである。 色々と気づかされることがあった。 まず、演説の全文が夕刊に載っているということ。通常ならば、朝刊のタイミングだが、夕刊のタイミ…

福田首相の辞任

昨夜、帰宅してテレビをつけたら、福田首相が記者会見をしていたので、「これは辞めるんだろうな」と思って見ていたら、案の定、辞任記者会見だった。 今回の辞任劇を見て、思ったことは次の2つである。 まず、突然、政権を放り出す総理はいずれも、あまり…

北京オリンピックの終幕

暑い夏とともに北京オリンピックが終わった。中国政府にとっては、大成功だっただろう。中国政府が北京オリンピックを通じて世界に伝えたかったメッセージは、「中華帝国復活」ということではなかっただろうか。 なかでも、チャン・イーモウ監督が演出した開…

惜しかった清水選手

昨日、ボクシングのタイトルマッチを観戦してきた。世界チャンピオンの内藤大助が三度目の防衛を果たした試合だが、対戦相手の清水智信選手が福井出身ということで、福井県人で誘い合って清水選手の応援に出かけていった。 いや、実に惜しい試合だった。9ラ…

最近の労働市場

現在、働いている会社でポストの空きができたので、この1ヶ月間、人材の採用に携わっていた。この間、色々、感じたことがあるので、簡単にご紹介したい。 まず、第一に、労働市場が流動化しているということである。人材紹介会社から次から次に人材を紹介さ…

土手刈り

先週末、5ヶ月ぶりに福井に帰った。毎年、恒例の土手刈りに参加するためである。土手刈りというのは、実家の鯖江市下新庄で毎年6月末の日曜日に行われる川の土手の草を刈る作業である。集落の各戸から1名ずつ参加するのが義務付けられている。僕が参加しない…

裁判員制度について

最高裁の違憲判決について書いたら、裁判員制度についての書き込みが続いたので、簡単に裁判員制度について説明しておきたい。 裁判員制度というのは、市民が裁判員として刑事裁判に参加するというものである。制度の目的としては、次の2つがあるように思う…

最高裁判決の意味

最高裁が珍しく違憲判決を出した。違憲判決というのは、国会が通した法律が憲法違反だという判決である。最高裁が「第二の立法府」と考えられているアメリカでは違憲判決は当たり前だが、政府による明らかな憲法違反を「統治行為」に司法は介入しないという…

自衛隊機の派遣見送り

中国への自衛隊機派遣が見送りになった。実現していれば、日中関係だけでなく、将来のアジアにも大きなインパクトを与える画期的なことだと大いに期待していたが、中国政府が発表する前に、日本側が発表する形になっていたのが気になっていた。 どうしてこう…