iPod

遅ればせながらiPodを買った。昨秋から勉強を始めた中国語のCDを聞くのに手軽だからである。

iPodを使い始めて、いま起きている変化について色々考えさせられた。

まず、マニュアルらしいマニュアルがない。すべて、ネットに接続するのが前提になっている。

音楽配信のためのitunesをダウンロードしてみても、ネットに接続していないと動かない。CDを取り込むにしても、いったん、「ネットのあちらがわ」に行かないと取り込めない仕組みになっている。音楽を取り込んでしまえば、iPodは「ネットのこちらがわ」のものになるのだが、常に、「ネットのあちがらわ」に行かなければ、iPodを使いこなせない仕組みを作ってしまった。

いわば、アップルはiPodという革命的な商品の導入で、いっきに「ネットのこちらがわ」の企業から「ネットのあちらがわ」の企業にジャンプしてしまったということだろう。

これは同時に経営的にも極めて優れた戦略である。100万ボルトの柴田清一郎社長にお会いしたときに、家電量販店はテレビやパソコンなどのイニシャル商品よりも電池やインクカートリッジのようなランニング商品の売り上げ比率が高くないと儲からないというお話を伺った。

アップルはiPodというイニシャル商品を売るだけでなく、ネットによる音楽配信というランニング商品を売ることにも成功したのである。

ソニーミュージックソニーピクチャーを抱え、ソフトとハードの融合にもっとも意欲的でそのために莫大な投資をしたソニーが同じことを考えつかなったのは残念としか言いようがない。