「もんじゅ」視察

 昨日は、県議会の厚生常任委員会の県内視察に参加した。午前中は県立病院の視察、午後は「もんじゅ」の視察であった。僕は厚生常任委員会のメンバーではないのだが、県立病院については福井市選出という理由で(これを「地係り」というらしい)、「もんじゅ」については、原子力特別委員会のメンバーという理由で参加させてもらった。

 県立病院については、「こころの医療センター」「こども療育センター」「看護専門学校」の3施設を視察した。いずれも立派な施設であることは分かったが、福井県全体の医療の中でどのような位置付けであるのかについてはよく分からなかった。厚生常任委員会では、きちんとした説明と議論が行われているのであろうか。

 「もんじゅ」を視察するのは2度目である。ナトリウム漏れの事故があった1995年からすでに12年たった。いよいよ来年10月に運転再開予定である。運転再開に向けて8月31日からプラント確認試験が1年かけて行われる。今回の視察で、日本原子力研究開発機構の方々は、ナトリウム漏れの事故の原因となった温度計を抜本的に改良するなど、考えうる限りの安全対策を採っていることを強調していた。

 「もんじゅ」のように巨大で複雑な科学プロジェクトについて、専門家の科学者からいくら精緻な説明を受けても、素人は「ああ、そうですか」とうなずくしかない。ただ、「こんな巨大で複雑な機械が何の故障もなく動くのかな」という素朴な疑問が湧いてくるだけである。

 「もんじゅ」について僕が以前から疑問に思っているのは、なぜ、高速増殖炉が必要なのかという点である。現地で配られたパンフレットには、「ウラン資源をプルトニウムにかえて有効に利用できるので数千年のエネルギーが確保される」と書かれてあった。まるで、ウランを燃やすたびにプルトニウムがどんどん「増殖」するかのような印象を受ける。

 そこで、質疑応答の時間に、一体、どの位の期間にどの位プルトニウムが増殖するのか聞いてみた。途端に科学者たちの歯切れが悪くなった。3人の方が3様の答弁をされたが、結局、「60年間で2倍になる」ということであった。これでどうやって数千年のエネルギーが確保されるのか、不思議である。