青森県視察

 先週の県内視察に続いて、28、29日の2日間、県議会の総務教育委員会の国内視察に参加した。

 今度は、青森県八戸市青森市を訪れた。東北新幹線開業の経済効果についての視察である。

 まず、新幹線問題を除いた全般的な感想としては、第一に、以前から感じていることであるが、日本中、どこに行っても、街は似たり寄ったりで没個性的であること。よく言われる全国一律「金太郎飴」現象である。とても、「美しい日本」とはほど遠い現状だ。世界で最もすぐれた工業製品を作れる国民が街づくりということになるとこんな面白みのない街しか作れないのは何故なのだろう。江戸幕府末期に日本を訪れた外国人はその美しさに驚嘆したというから日本国民に美的センスがないとは言えない。明治維新以後、建築や都市計画を担当してきた行政官庁や教育機関の能力不足ということなのだろうか。

 第二に、地方はどこに行っても苦しいということである。人口減少と高齢化が地方を直撃している。参議院選挙でも明らかになった地方格差に真剣に取り組まないと日本は破綻する。

 さて、本題の東北新幹線について。ちなみに東北新幹線が開業しているのは八戸市まで。青森市まで開業するのはあと3年後の平成22年度末である。

 まず、新幹線開業の経済効果は確かにあるようだ。青森県は、開業1年後の総合経済効果を約700億円と計算していた。但し、そのほとんどが県外観光客の増加によるものである。企業誘致などの目立った効果はないとのことであった。また、同時に、青森県内にあった支店や営業所が隣県である岩手県の盛岡に吸収統合されたり、仙台市まで買い物に出かける青森県民が増えるなどのストロー現象も発生している。

 次に、新幹線の開業により第三セクターになった在来線は毎年約3億円の赤字であった。経営改善の見込みはなく、国とJRからの支援強化を要請したいということであった。

 また、新幹線建設による地元負担の影響は深刻であった。6年前に9000億円であった県の予算規模を毎年10〜20%削減して7000億円まで切り詰めたとのことであった。ちなみに、新幹線から入ってくる固定資産税収入については、そのうちの75%まで地方交付税が削減されるので、純益は25%であるそうだ。

 おおざっぱに言うと、以上のようなことであった。簡単に言うと、新幹線が来ればバラ色というわけではないということである。新幹線が来ても、福井県に魅力がなければ人は集まらないし、むしろ、より魅力のある他県に吸い取られる。幸か不幸か、福井県に新幹線が来るまでまだ時間がある。その間に、福井県をうんと魅力のある地域に磨きあげておかなければならない。