高校の必須科目履修問題

全国各地の高校で必須科目を履修していないために高校生達が卒業できないという問題が事件になっている。

これまでにも何度も書いているが、何か事件・事故が起きた時の日本社会のパターンは決まっている。「真相究明・責任追及・再発防止」の3つである。今日、塩崎官房長官が、「ルールはルールとして守ってはもらないと困る」と発言したことで、今後、現在の文部科学省の学習指導要領が正しいということを前提に、「真相究明・責任追及・再発防止」の諸対策が各地で行われていることになろう。

だが、果たしてそうだろうか。NHKのインタビューで盛岡第一高校の校長が、「いまでも、自分の判断は正しいと正直思うところがある」と言っていることに注目すべきではないか。僕は大学受験を最優先にする現在の受験校の体質を弁護する気はない。むしろ、問題にしたいのは、いまの日本の教育は本当にこれでいいのかということである。

現在のルールが正しいということを前提に「真相究明」を図り、それに付随した形で「責任追及、再発防止」の諸対策を進めるのでなく、いまの学習指導要領が時代に合わなくなっているのではないか、本当に子供達が、そして、子供達の親達が求めている教育とは何か、さらにその先にある、将来の子供達にどんな日本人になってもらいたいのか、本当に我々が作りたい「この国のかたち」とは何なのか。その真相究明をすべきではないかということである。

そうでなければ、安倍首相が唱える「美しい日本」を創りたいという言葉が空虚になってしまうのではないのだろうか。