檀家の法事

檀家の法事(3回忌)に住職として出かける。浄土真宗の法事では、通常、観無量寿経という長いお経をあげるので、あらかじめ、「40分ほどかかりますので、足をお楽にしていてください」と断っておいたところ、お経が終わった途端に、幼稚園時代からの同級生の信(のぶ)ちゃんが、「ふみひろちゃん、40分って言ってたのに、30分で終わってもたよ」と声を上げたので、満座が大笑いになった。

その後、皆さんと一緒に仏間でテーブルを囲んで昼食をいただいた。最近の法事の後の食事は、お魚屋さんの2階とか、料理屋で行われることが多いが、ご自宅の仏間でいただくのはなごやかで話が弾む。親族の方々が故人の思い出話から、各自の近況報告、将来の希望など思い思いに話されるのを聞いているのは楽しかった。

高校時代にアメリカに留学して帰って来たとき、「アメリカではクリスマスなどの祝辞に親族が集まるのに、日本ではいつもお葬式とか法事のような悲しい機会にしか集まらない」と父親に文句を言ったことがあった。いまの年になって考えると、法事のときに親族が集まるのは、命について考え、命を生かしているすべてのものに感謝する仏教の教えにかなっている。遅ればせながら、日本文化の深さについて考えさせられた一日であった。