安倍総理の続投

 安倍総理の続投の評判が悪い。世論調査では約半数が辞めるべきだという意見である。ところが、基本路線は間違っていないから辞める必要がないというのが、安倍総理の主張である。では、安倍内閣の基本路線は何かというと成長路線だという。成長路線を否定して一体どういう基本路線があるのかというのが安倍総理の言い分であろう。

 しかし、僕は成長路線という言い方がそもそも間違っていると思う。正しくは開放路線である。なぜならば、いま問われているのは、経済の成長か停滞かではなくて、グローバリゼーションへの対応だからである。グローバリゼーションに対する選択は、開放路線か鎖国路線(=保護主義)の2つしかない。そして、鎖国路線(=保護主義)という選択を取り得ないのは明白である。

 つまり、グローバリゼーションに対しては、日本社会を開放していくしかない。鎖国路線(=保護主義)という選択を取れば、冷戦時代のソ連や中国、さらには現在の北朝鮮のように窮乏化を招くだけである。

 そのうえで、次に問われるのが、グローバリゼーションが必然的に招くさまざまな格差をどうするかという問題である。実は、いま、日本で問題になっているのはこの点である。

 ところが、この辺がうまく整理されずに議論されているので、議論も政局も混乱しているのである。

 もう一度、整理しておこう。

 いま、日本に求められているのはグローバリゼーション(=経済のグローバル化)への対応である。グローバリゼーションに対する選択としては、理論的には開放路線と保護主義があるが、現実問題としては開放路線しかありえない。

 開放路線というのは、同時に改革路線であり、成長路線である。

 冷戦が終わって、世界経済は一挙にグローバル化したが、日本はバブルの後遺症もあって、すっかり、経済のグローバル化への対応が遅れてしまった。

 この遅れを取り戻そうというのが、小泉内閣構造改革であった。日本が構造改革を怠り、経済のグローバル化に対応しなければ、国全体としての窮乏化を招くだけである。

 だから、小泉内閣構造改革を継承するのは正しいのである。

 構造改革を継承して、経済のグローバル化に対応できる開放的な国づくりを進めていく。しかし、同時に、グローバル化が招くさまざまな格差に対しても、きちんと手を打っていくというのが、いま、日本に求められている路線ではないだろうか。