坂川・福井市長の辞任表明

 坂川福井市長が辞任を表明した。9日に退院され、29日には公務に復帰されるものと思っていたので、正直言って驚いた。今にして思えば、昨年3月の福井市長選挙を共に戦ったときの痩せ方が尋常ではなかった。当時は、坂川さんに負けたのは真剣さの度合いが違ったためと自分に言い聞かせていたが、あの時、すでに病魔に冒されていたのかもしれない。若い頃から福井市長に照準を定めて政治キャリアを積み上げてこられ、ようやく自分の思いを実現できる立場を得たのに、志半ばで辞任せざるを得ない悔しさはまさしく断腸の思いであろう。同じ政治の道を歩む者として同情を禁じえない。

 ところで、記者会見で坂川市長は、「私はこんな短期間で、それほど評価はいただけないと思う」と自嘲気味に述べておられるが、スプロール化の止まらなかった福井市の街づくりを人口減少時代にふさわしいコンパクトシティに転換させたのは立派な業績である。僕自身、福井市長選挙を戦ってみて、郊外開発に向けての政治的圧力がいかに強いかを肌で感じた。こうした政治的圧力を持ち前の頑固さで毅然とはねつけ、コンパクトシティの考え方を定着させた坂川市長は、これまでの膨張一方の街づくりから人口減少時代にふさわしい街づくりに舵を切った市長として評価されることになろう。