小沢民主党代表の辞意表明

 小沢一郎民主党代表が辞意を表明した。安倍総理の辞任に続いて、またもや、まさかの出来事である。
 どうしてこうなったのか。
 新聞・テレビでさまざまな解説がされているが、中でも、「選挙よりも政局を重視した小沢戦略の破綻」という説明が分かりやすかった。
 選挙というのは衆議院選挙のことである。正攻法は、あくまでも、次の衆議院総選挙で勝って政権交代を実現することだ。しかし、気楽に政権批判ができる参議院選挙では勝てても、政権交代に直結する衆議院選挙で勝つのは難しい。特に、長いものには巻かれろという風潮の強い地方ではなおさらである。選挙を熟知している小沢代表が次の衆議院選挙で勝つのは困難という結論を出したとしてもおかしくない。
 そこに、福田総理から大連立の話が飛び込んできた。政権担当能力があることを示すために政権に参加するのも悪くないと小沢代表が考えたのも理解できる。ところが、予想に反して、連立案は民主党内部でまったく支持を得られなかった。民主党幹部は、民意を飛び越えて、ボス同士で結論を出す政治手法に反発したのだろう。
 政局とは、政治的混乱のことである。これまでの日本の政治では、政治的混乱が生じるたびに、ボス同士が話し合いで新しい局面を作り上げてきた。今回、民主党幹部はこうした政治手法がもはや時代に合わないとNOを突きつけた。新しい政治の局面を作り上げるのはボスの意向ではなくて、あくまで、民意であるという立場である。
 「政局よりも選挙」という考え方が日本の政治に定着することを祈りたい。