日本の入れ子構造

 随分、長い間、ご無沙汰していて申し訳ない。
 この間、痛風の発作が2回も起きて、あたふたしていた。過去の経験則から言って、落選してしばらくすると痛風の発作が起きるようだ。元気なふりをしていても、やはり精神的にも肉体的にもダメージを受けているということか。

 ところで、先日、久しぶりに大学時代の友人と集まった。僕が政治活動に見切りをつけて東京に戻ってきたというので、集まってくれたのである。それぞれ、髪が白くなったり、薄くなったり、外見は年相応になっていたが、話している内容は学生時代とほとんど変わらず、人間の本質は変わらないものだと思った。

 そこで、僕が『日本の入れ子構造』という話をしたら、結構、受けていたので紹介したい。

 入れ子構造というのは、ロシアの空港などで売られている、人形の中に少し小さな人形が、その人形の中に、また、もっと小さな人形が入っているというものである。
 僕が福井から東京に出てきたのは、福井の驚くべき閉鎖性と情報音痴ぶりに呆れ果てたからであるが、東京に出てきて分かったのは、日本全体も相も変わらず閉鎖的で情報音痴ということである。つまり、閉鎖的な日本の中に、さらに閉鎖的な地方があるという入れ子構造になっている。
 新聞を読めば詳しく書かれているので、くどくど書くのは避けるが、今年に入って日本の株価がこれだけ下がっている一つの理由は、世界の投資家が日本の閉鎖性と後進性に呆れ果てて、日本株を売っているからである。

 ミスター円と言われた元財務官の榊原英資さんが、最近、『日本は没落する』という本を書いて警鐘を鳴らしているが、残念ながら僕も同感である。

 では、日本と一緒に没落したくない個人はどうしたら良いのか。答えは、自分一人でグローバル化と知識化を進めることだろう。といっても、何も日本を出て行く必要はない。資産形成という観点からは、自分のポートフォリオの中身をグローバル化すれば良いのである。また、知識化のための手段は、この情報化の時代、いくらでもある。要は、頼りにならない国をあてにするのをやめることだろう。