麻生総理の所信表明演説

 麻生総理の所信表明演説を読んだ。仕事中に聞いている暇はないので、夕刊に掲載されている演説の全文を読んだのである。
 色々と気づかされることがあった。
 まず、演説の全文が夕刊に載っているということ。通常ならば、朝刊のタイミングだが、夕刊のタイミングで載るということは、所信表明演説を行う前に、マスコミ各社に演説の原稿を配ったということである。通常、政治家は自分が演説を行う前に原稿をマスコミに配るのは嫌がるものだが、敢えて、そうしたのは、マスコミを味方につけようという思惑がある。狙い通り、夕刊の記事も好意的である。麻生政権は、かなりマスコミ操縦術にたけていると見るべきだろう。
 次に、演説そのものであるが、思わず引き込まれて、所信表明演説の全文を読んでしまった。これは、役人時代も含めて、初めてのことである。それだけ、読みやすいし、面白い。政治家にとって、本来、言葉は命のはずであるが、自分の言葉で語れる政治家はほとんどいない。政治に言葉を取り戻した総理という意味では、中曽根元総理以来ではないだろうか。中曽根元総理と異なるのは、文章の短さである。雄弁家と呼ばれるアメリカの政治家の演説の文章もおしなべて短く、さすがに、英語が分かる麻生総理らしい。
 こうして見てくると、満を持して総理になったというやる気と自信に満ち溢れている。最近の政治は馬鹿馬鹿しくて、コメントする気もなくしていたが、所信表明演説を読んで、麻生総理の貴族的精神に少しだけ期待する気になった。