新しい「この国のかたち」(3)

ブログの更新を待っていてくれた人がいるようでとても嬉しい。今日も続きを書こう。

今日は、グリーンディール政策について考えてみよう。グリーンディールというのは、オバマ大統領が打ち出している自然エネルギーを核とした新しい環境ビジネスの立ち上げ構想のことである。環境技術では一日の長があるはずの日本がなぜ、環境問題でリードできなかったのか。それは、日本の政治が「業界の常識」で動いているからである。

自然エネルギーというのは、太陽光発電風力発電など自然の力でエネルギーを起こそうというものである。EU各国は2020年までに全エネルギーの20%を自然エネルギーで賄おうという目標をたてている。地球温暖化問題には後ろ向きと批判されることの多いアメリカでさえ、2020年に15%という目標をたてているが、日本は2014年までに使用電力の何と1.63%を自然エネルギーで賄うことを義務化しているにすぎない。

どうしてこうなるかというと、電力会社が原子力発電以外の新しいエネルギー源に投資したくないからだ。眼には見えないが、電力会社の政治力はすさまじい。2003年の福井県知事選挙では、「脱原発」を唱えた僕を落選させるために、沖縄電力を除く9つの電力会社が全国から福井県内に電話攻勢をかけたと聞く。電力会社から多額の政治献金を受け取っている自民党は電力会社の既得権益を守ろうとするし、電力労組の力が大きい民主党も同様に電力会社の既得権益を守ろうとする。結果的に、日本には自然エネルギーを促進しようという政治力が生まれてこないのである。

こうした政治状況を、僕は以前から、「業界の常識」で動く政治と呼んでいる。新党日本田中康夫氏が自民党議員は「業界派遣議員」であり、野党議員は「労働組合派遣議員」であると喝破しているが、まったくその通りである。こうした「業界の常識」に唯唯諾諾として従う議員ばかりが政治を行っているので、日本が世界の潮流から取り残されるのだ。

求められるのは「業界の常識」ではなく「市民の常識」で動く政治であり、「市民の常識」を代表する政治家である。しかし、悲しいのは、現在の日本では、「市民の常識」とはすなわち「無党派の常識」であり、「無党派の常識」は往々にして「ワイドショーの常識」となりがちなことである。

「ワイドショーの常識」に振り回されない「市民の常識」が生まれるまでは、新しい「この国のかたち」は生まれそうにないというのが、現時点での僕の結論である。