民主党の圧勝

 衆院選民主党が圧勝した。理由については、報道メディアで色々報じられている通り、「とにかく、一度、政権を変えてみよう」という民意の表れであろう。自民党民主党の政策を詳細に比較した結果とは思われない。村上春樹が『IQ84』で表現した「自分には理解できない世の中」が登場してしまったという違和感。こうした訳の分からない世の中の変化に三代続いた御曹司内閣が対応できていないどころか、そもそも気づいていないんじゃないかという不信感が一挙に噴き出したというところだろうか。
 この政権交代の最大の効用は、自民党は決して下野しないという信仰が崩れたことだろう。裏返せば、政権交代は可能であるということであり、さらに、民主党政権が公約通り、マニフェストを実現することで、「政権が変われば、これだけ世の中も生活も変わる」ということを証明できれば、政治に対する不信感はかなり払拭されることになろう。ようやく、政治が「可能性の技術」("The Art of the Possible")になろうとしている。
 それにしても、これだけ全国に民主党の嵐が吹き荒れているときに、福井県だけは全選挙区で自民党が勝ったことには、驚くのを通り越して呆れてしまった。世の中の変化に鈍感というべきなのか、それとも、世の中がいくら変わろうと自分たちはこれまでと一緒でいいという驚くべき保守性の表れと理解すべきなのか。こんな政治風土で「変化」を唱えてどれだけ政治活動しても当選するわけがないとあらためて自分の不明を恥じた次第である。